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取締役会をオンラインで行う場合の開催場所と議事録の記載
以前であれば、取締役会議事録において、取締役会の開催場所と言えば、「本店会議室」とでも書くことが基本型であったかとは思いますが、特にコロナ禍以降は、在宅勤務が一般化したことによって、取締役会といった重要な会議もオンラインで済ませられることが増えました。
では、取締役全員がオンラインで取締役会に出席することで開催した場合、取締役会の開催場所はどこになるのでしょうか?
まず1つの考え方は、従来通り、「本店会議室」と記載することです。全員がオンラインで本店会議室に参加したという構図になります。
この考え方でも決して間違えではないとは思うのですが、会社法施行規則第101条第3項第1号では、「取締役会が開催された日時及び場所」となっているところ、果たしてそこに誰も物理的にはいなくて取締役会があったと言えるか、は今の時点での理解では少し心もとないところです。
もっとも、取締役会をどこで開催したのかについては、法令上特に制約もありません。別に個人の自宅であっても良いわけです。そうしますと、議長(通常は代表取締役でしょう)の自宅住所を開催場所するということが無難な対応ということになります。従いまして、
開催日時:***
開催場所:東京都〇〇区△△1-1-1 (代表取締役の自宅)
議長:***
参加者:取締役 A(個人宅)、取締役B(個人宅)・・・
といった記載が良いのではないかと思われます。
また、議事録の記載についてもう1つ注意事項があります。今となっては、オンラインの音声や画像の品質に問題のあるようなことはそう無いのですが、インターネット等の通信環境に依存する以上、不具合の起きる可能性は否定できません。もし、何らかの不具合があって取締役の議論に支障があった場合には、議事進行に影響を与える可能性もあり得ます。そこで、議事録においては、その場に居合わせたと同じ状況であったことの記載が必要になってくるわけです(なお、根拠については、法務省法務省民事局参事官室・平成8年4月19日付「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの理由等の公表について」となります)。
そこで、例えば、以下のような記載をすることになります。
「Web会議システムにより、出席者の音声が即時に他の出席者に伝わり、出席者が一堂に会するのと同等に適時的確な意見表明が互いにできる状態となっていることを確認し、議案の審議に入った。」
記載の内容には正確性を期しておりますが、法令改正等により変更になっている場合があります。また、筆者の個人的な見解が含まれている場合等があります。
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