大理石

<セクシャルハラスメント・パワーハラスメント等

1. ハラスメントの種類

 最近は、一口に「ハラスメント」とは言っても、色々な種類のハラスメントが造語のように出て来ています(アルハラ、アカハラ、モラハラ等)。これらは、行為の類型を細かに表現しているという点では正確なのかもしれませんが、その様な公的な定義がされているわけではありません。一方で、ハラスメントは?と聞かれて「これだ」という範囲を明確に限定されているわけでもありません。

 もっとも、上に書いた「いろいろな種類のハラスメント」も、突き詰めればセクハラ、パワハラに広くは分類されるように思われます。敢えてハラスメント対応関係の法整備に照らして考えるならば、大きくは(1)セクシャルハラスメント、(2)パワーハラスメント、(3)妊娠・出産・育児休業・介護休業等に対するハラスメント(マタハラはこれに含まれます)というところかと思いますので、以下はこの分類に従うことにします。

2.セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントとは、一般に「相手方の意に反する性的な言動で、それに対する対応 によって、仕事を遂行するうえで、一定の不利益を与えたり、就業環境 を悪化させること」と言われています(東京都「職場におけるハラスメント 防止ハンドブック」より)。より法律に即した定義を、ということであれば、男女雇用機会均等法第11条第1項をご覧下さい。

(2) 行為の類型

セクシャルハラスメントの行為類型としては、

1) 職務上の地位を利用して性的な関係を強要し、それを拒否した人に対し減給、降格などの不利益を負わせる(対価型)

上司が部下に交際を求めて、断れたら悪い人事評価をするといったような場合が典型です。

2) 職場内での性的な言動により  働く人たちを不快にさせ、職場環境を損なう(環境型)

​同僚に性的経験を執拗に訪ねるといったような場合が典型です。

セクシャルハラスメントに該当するかの判断基準については、一律に示すことは困難です。少なくとも、「私がセクハラだと思ったら全てセクハラだ」という主観だけでは決定出来るものではありません。諸々の場面や状況を総合的に考えて、それあが一般的に見て(客観的基準に照らして)、セクシャルハラスメントに該当するかの判断をしていくことになります。

(3) セクシャルハラスメントを受けた場合の対応

  • 事業主、つまるところ会社は、セクシャルハラスメントが発生していることを放置してはいけません。相談窓口を定め、仮に発生した場合には事実関係の確認、再発防止に向けた措置を講じること等が必要ですし、そのようなセクシャルハラスメントを訴えて来た人に対する報復や差別的取り扱いがなされないようにする必要があります。

  • 職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するために、事業主が雇用管理上講ずべき措置として、厚生労働大臣が定める指針について詳しくご覧になりたいという方は、以下のリンクをご参照下さい。

​  https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605548.pdf

  • ​もっとも、実態としては、特にセクシャルハラスメントの加害者になる方が会社でも上級のポジションにいるほど、どうしても調査にバイアスがかかる可能性を否定出来ません。まずは会社内での手続きに則った解決を試みることが基本にはなりますが、社内での浄化作用が期待出来ないという場合には、弁護士への相談をお勧め致します。

3.パワーハラスメント

(1) 定義​

 一般には、職場において行われる、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、これら3つの要素を全て満たすものをいいます。

(2) 行為の類型

パワーハラスメントの行為類型としては、

1)  身体的な攻撃(暴行・傷害)

2)  精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)

3)    人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)

4)    過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強 制、仕事の妨害)

5)    過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の 低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

6)    個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

といったことが挙げられます。

パワーハラスメントに該当するかの判断基準については、セクシャルハラスメントと同じく一律に示すことは困難です。身体的な攻撃を別とすれば、業務の適正な範囲と言えるかどうかということが重要です。もっとも、何を以って業務の適正な範囲かということも、会社に関係なく同一ということもありませんし、業種・職種等に応じて具体的な状況の下で判断せざるを得ないということが実情であろうと思われます。

また、パワーハラスメントは一見すると正当な人事権行使等を隠れ蓑にすることも少なくありません。例えば、配転についても全く必要性が認められなかったり、労働者に多大な不利益を与えるものである場合もあります。また、人事評価も評価基準があるとはいえども、評価者の主観によってブレる可能性を大いに秘めています。その他、比較的軽微な事由を大げさに捉えて、不当な懲戒処分をすることもあるでしょう。これらはパワーハラスメントの要素もまた含んでいる側面があります。

(3) パワーハラスメントを受けた場合の対応

  • 基本的にはセクシャルハラスメントの場合と同様です。

  • 職場におけるパワーハラスメントを防止するために、事業主が雇用管理上講ずべき措置として、厚生労働大臣が定める指針について詳しくご覧になりたいという方は、以下のリンクをご参照下さい。

​  https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000584512.pdf

4. 妊娠、出産、育児休業等に関するハラスメント

(1) 定義​

一般には、職場における上司・同僚からの言動(妊娠、出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や、育児休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されることを言います・

(2) 行為の類型

大きくは、「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」があるとされています。

1) 制度等の利用への嫌がらせ型

  • 解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの

制度の利用申出等に対して、上司が解雇を示唆する等

  • 制度上の利用の請求等または制度等の利用を阻害するもの

​制度の利用の申し出をしないように言う、取り下げるように言う等

  • 制度等を利用したことにより嫌がらせ等をするもの​​

​業務に従事させない、雑務のみを与える等​

​が挙げられます。

2) 状態への嫌がらせ型

  • 解雇その他不利益な取扱いを示唆するもの

​妊娠等したことにより、退職を迫る等

  • 妊娠等したことにより嫌がらせをするもの

​妊娠等したことにより、仕事は任せられない等申し向ける等

​が挙げられます。

(3) これらのハラスメントを受けた場合の対応

  • 基本的にはセクシャルハラスメントの場合と同様です。

  • 既にお気づきかもしれませんが、これらのハラスメントは、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントの要素も併せて持っているということが言えます。

​その他、総合的に纏まっている資料として、厚生労働省のパンフレットのリンクを以下の通り案内致します。

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000611025.pdf

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000137179.pdf

ハラスメントは、会社が毅然とした対応をしてくれる場合であれば、そもそも問題にはなりにくいものです。しかし、実際にはハラスメントの調査とは言っても、会社においては馴れ合いになる可能性も否定出来ません。

弁護士が無責任な調査に対して異議を申し入れ、出来る限りご納得のいく解決を模索して参りますので、まずはご相談されることをお勧め致します。どうぞお気軽にお問合せ下さい。

(1) 定義

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