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  • 弁護士 岩山勝湖

保険とポイントサービス(1)

私は、自己紹介に記載の通り、保険会社の勤務経験が長いことから、まずは保険を題材にしてみたいと思います。

保険代理店ビジネスに関係する方から、保険募集等における「特別の利益提供」について、特にポイントとの関係でご質問を頂きました。今回と次回で、保険とポイントサービスについて考えてみたいと思います。

前半は、保険によるポイント付与についてです。保険業法第300条第1項第5号・同施行規則第234条第1項第1号では、特別利益の提供等についての禁止規定を置いていることとの関係が問題になりそうです。

また、その解釈は、保険会社向けの総合的な監督指針においてより具体的に示されています(「法第 300 条第 1 項第 5 号関係」をご覧ください。)。

更に詳細となると、損害保険業界では、損害保険協会において「募集コンプライアンスガイド」を定め、考え方を示しています。

http://www.sonpo.or.jp/about/guideline/pdf/index/boshuguide.pdf

もっとも、「保険勧誘や契約締結の際のお客さまへの物品やサービスの提供については、実質的に保険料の割引や割戻しとみなされるような過度の提供が禁止されています。」とはしているものの、あまり詳細な説明はされてはいません(実際には、自動車保険の加入等でギフト券(1,000円~1,500円程度)をプレゼントしている場合が多々あり、上記金額の程度であれば「過度」ではない、ということなのでしょうか。)。

一方、生命保険業界では、生命保険協会において、自主ガイドラインとして「保険募集人の体制整備に関するガイドライン」を定め、特別利益の提供について考え方を示しています。

http://www.seiho.or.jp/activity/guideline/pdf/taiseiseibi.pdf

提供される利益は、前払式支払手段に該当しないこと、現金・電子マネー(または交換可能なもの)以外であることが必要で、かつ、使途の範囲と社会的相当性の双方の程度を踏まえ判断と示しています。

また、幅広い商品の購入・交換ができるポイントサービス・金券類についても、特別利益に該当すると整理しています。

損害保険業界と生命保険業界では別の業界団体が存在しているとはいえ、規制当局は同じく金融庁です。そうしますと、これらを矛盾なく整理しようと思えば、①使途が限定されるポイントサービス・金券類(例として、某ハンバーガーチェーンのカード等であれば、使途は狭いものと扱う)であって、②金額も社会的相当性を逸脱しない範囲(1,000円~1,500円であれば相当性がある)で、ということになるのでしょうか(某ハンバーガーチェーンの金券1,000円でも私は結構うれしく感じますが・・・。)。

別に保険代理店がポイントを付与したりすることは、自助努力であって自由競争の範囲内ではないかと思う方も多いかと思います。この点については、伝統的な言い方をすれば、保険契約者間の平等・公平といったことが挙げられるかと思います。

今後、規制緩和がされていくかというと、短期的にはそうは思いません。というのは、保険代理店が契約者等に対して付加的なサービスを提供することも元々はどこかに財布がある話で、その原資は手数料等保険会社から支払われる金銭です。その過度な手数料競争にもメスを入れたのが、昨今の保険業法の改正でもありますので、特別利益の提供もこれとは無関係ではないと思うからです。

次回は、ポイントによる保険料支払いということについて検討してみたいと思います。

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