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  • 弁護士 岩山勝湖

労働者性の判断基準

4月に入りましたが、本ブログ執筆時点ではコロナウイルスの影響が依然広がっている状況です。日本は世界的に見れば不思議なくらいに持ち堪えてはいますが、強力な封鎖が出来るわけではないので今後の動向が気がかりです。

 さて、先日は旅行代理店の業務委託契約を解除されたという外国人の方からご相談を受けました。コロナウイルス蔓延による客足の減少をいの一番に受ける業界の一つですので、申し訳ないのですがやむを得ないだろうなという気持ちで話を聞いておりました。

 その方は、自分なりに調べられたようで、自分の契約は実質的には雇用契約であって業務委託契約ではない、これは不当解雇ではないかという形で相談をされてきました。結論から言うとその方の場合は無理筋ではありましたし、ご本人も諸事情から進めることを躊躇されて話としては終わったのですが、この方の目のつけどころについて少し触れておきます。

 業務委託契約ではなく、雇用契約であるという場合には何が違うかと言えば、その場合には労働者として労働基準法の保護を受けるということです(労働関連法は、社会立法の側面が強いので、労働者たる市民の権利を護るという側面が強いです)。そして、業務委託契約か雇用契約かということは、契約書の表題や規定の文言だけで決まるものではありません。あくまでもどのような実態であったかということが重要になります。

 今までの判例法理で作られてきた基準・考慮要素を簡単に挙げれば、①仕事の依頼、業務の指示等に対する諾否の自由の有無、②業務の内容及び遂行方法に対する指揮命令の有無、③勤務場所・時間についての指定・管理の有無、④労務提供の代替可能性の有無、⑤報酬の労働対償性、⑥事業者性の有無(機械や器具の所有や負担関係や報酬の額など)、⑦専属性の程度、⑧公租公課の負担(源泉徴収や社会保険料の控除の有無)の諸要素を総合的に考慮して行われる(独立行政法人 労政・労働政策研究機構のホームページがきれいに纏まっているので、引用させていただきます。 https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/01/01.html)。

 この中での中心は、指揮命令を受けて働いて、①、②及び⑤、つまりは使用されて、その対価としての金銭、つまりは賃金を受け取っているか、というところではないかと思います。

 もっとも、諸要素を総合的に考慮と書いてあるように、スパッときれいに決まるものではありません。そこで、私が以前同様の件を取り扱った際には、他にも会社名の名刺の使用であるとか、そこに記載された一定の肩書(マネージャー等)、報酬額そのもの等諸々の要素も総合的に挙げて、労働者性を争いました。

 申し上げた通り、労働者性を有するかはあくまでも実態で決まるものです。中には、最初は確かに業務委託らしい形態であったかもしれないが、次第に会社で働いている他の従業員と同様の状況に後から変容しているといった場合もあるかと思います。業務委託契約という文言をタテに厳しい対応を迫られている方におかれましては、一度ご自身の業務実態を見直されてみることで、争える余地もあるのではないかと思われます。

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