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  • 弁護士 岩山勝湖

海外との間における職業紹介事業(1)

今回は労働関係のことについて書いてみようと思います。具体的には有料職業紹介事業のことです。

きっかけとしては、私自身がその様な人材紹介の打診を受けたことに基づきます。私は、仕事を通じたネットワークを広げたいという思いから、Linkedinにも登録をしているのです。紹介文や経歴は全て英語にて記載をしておりますので、海外の人材紹介会社の方からコンタクトを頂く機会があります。その際に、ふと疑問が沸いた次第です。

有料職業紹介事業の根拠法令は、(もう「いま風」ではないかもしれませんが)職業安定法になり、有料職業紹介事業については、厚生労働大臣の許可を必要する事業になっています。とすれば、これらの海外の人材紹介会社の方はどうなのだろう?と。

そもそも、職業安定法の目的に遡って考える必要があると思われます。そこで、職業安定法の第1条を見ると、

(法律の目的) 第一条 この法律は、雇用対策法(昭和四十一年法律第百三十二号)と相まつて、公共に奉仕する公共職業安定所その他の職業安定機関が関係行政庁又は関係団体の協力を得て職業紹介事業等を行うこと、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割にかんがみその適正な運営を確保すること等により、各人にその有する能力に適合する職業に就く機会を与え、及び産業に必要な労働力を充足し、もつて職業の安定を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。

となっています。当初の制定時(昭和22年)とは、ずいぶんと環境も変化はしておりますが、あくまでも社会立法であるということが前提です。

また、職業紹介とは、同じく法第4条第1項を見ると

(定義) 第四条 この法律において「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることをいう。

かつては、職業紹介は日本国内で完結するものとの前提があったかもしれませんが、ボーダーレス社会となった現在では、日本と海外との間での人の行き来は当たり前のようにあり、それは労働市場においても同様です。

この点、法の適用についての考え方を明らかにしているものとして、「職業紹介事業の業務運営要領」(平成30年4月版・厚生労働省職業安定局)が挙げられます。同要領では、

国外にわたる職業紹介に関する法の適用 国外にわたる職業紹介とは、国外に所在する求人者と国内に所在する求職者との間又は国外に所在する求職者と国内に所在する求人者との間における雇用契約の成立のあっせんを行うことをいう。 法は、他の行政法規と同じく、原則として日本国内で行われる行為に適用されるものであるが、職業紹介については、労働者の保護と国内労働市場の秩序維持を図る観点から規制の必要が高く、さらに、国内に及ぼす影響が非常に大きいところから、当該職業紹介の行為の一部が日本国内で行われる場合については、法の規制が及ぶものである。

としています(下線部分は筆者)。先に述べた通り、職業安定法は社会立法日本国内における職業の安定、経済及び社会の発展に寄与してもらう以上は、我が国の規制に服してもらわないといけないわけですから、「職業紹介」の一部が海外で行われるからといって、骨抜きになっては法の趣旨に反するわけです。法律の目的に立ち戻れば、至極当然の整理ではないかと思います。

従いまして、海外の人材紹介会社が、日本国内において許可なく職業紹介の一部を行うことは違法ということになります。

もっとも、あまりに紋切り型でダメとだけ言うわけにもいかず、実際的な解決方法を政府も用意しています。この点は、次に説明します。

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