検索
  • 弁護士 岩山勝湖

配置転換

先日、外国人の方から相談を受けました。大要としましては、「組織再編に伴い、日本国内において所属する部門が縮小することになり、海外に転勤してもらえないかとの相談を受けた。しかし、私は日本で日本人と結婚しているので日本国内に留まりたいと思っている。その場合、私が日本に留まるということは法的権利として保障されていないか。」といったことになります。

この件について言えば、海外への配置転換である以上ご本人にとっても負担はありますので、またお伺いした諸々の要素も加味しますと、会社側にも配慮を求めて交渉が十分出来そうな件かとは思いました。もっとも、配置転換に応じないことが法的権利にまで高められているかというと、それは別の事ではないかと思われます。

そこで、我が国における配置転換について考えてみたいと思います。

配置転換を命じる根拠は、労働基準法等にスパッと明確に書かれているわけではありません。労働契約においてこれを定めておく、実際には「業規則の定めるところによる「」という条項が入っており、就業規則では広く配置転換を人事権の一環として認めている、といったことが多いのではないかと思います。

日本の会社では、職種や勤務地域の限定の合意をしているような場合は別として、比較的広く会社側の人権としての配置転換権を認めていると考えられます。特に、全国展開をしている大規模な会社であれば、それこそ本社●●部から、遠隔地の営業所への異動といったことも珍しくないのではないでしょうか(私の知っている方の中には、某東北地方の支店から次はニューヨークだったという方もいます)。

さて、この配置転換ですが、もちろん無制約に認められるものではありません。正当な理由がない場合には、それはハラスメントとも言えますし、判例法理に照らしても権利の濫用とされることもあります。

配置転換のリーディングケースとして有名なのが、少々古くはなりますが、東亜ペイント事件 (S61.7.14最二小判)というものがあります。詳細な説明は下記リンクを参考にして頂ければとは思います。

https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/haichi/haiten.html

特に強調しておくとすれば、業務上の必要性がない場合、その必要性があっても他の不当な動機・目的をもってなされた場合、労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合 、には配置転換は不当なものとして許されないということになります。尚、業務上の必要性とは言っても、余人をもって代えがたいといったことではなくても、人事政策の一環として通常のものであれば、必要性ありと認められる方向にはあります。

1回の閲覧

©2020 by 岩山勝湖法律事務所