
【IT保守契約】
各種システムの保守・メンテナンスに関する契約は、多くの会社で少なからず存在する契約の1つです。分類としては別掲の業務委託契約書の1つではありますが、保守契約の性質上、定めておくべき事項があります。添付は保守契約の一例ですが、具体的な内容や条件については案件毎に異なります。
その上で、幾つか補足致します。
<対象システム>
業務範囲を明確にしておかないと、対象としていないシステムについても現場レベルでは問い合わせをするということが発生してしまう可能性があります。これを避けるためにも、対象範囲の明確化が必要です。
<保守業務の内容>
趣旨は上記に同じです。バグの修正、セキュリティ対策といったこと等、業務内容を明確化しておくことが必要です。
<対象外の業務>
上記2つで業務が明確化出来ていれば必須ではありません。ただ、例えば、過去にも他のシステムや保守業務に多く関与したことがあるような関係である場合には、今回の契約ではそういったものは対象外であることを確認しておくという意味があります。
<対応時間・保守業務実施時間>
委託者側からすれば、フレキシブルに行って欲しいというところですが、受託者側からすれば、人員の手配といったこともあるので、応じられないこともあります。契約書例では深く書き込んではいませんが、場合によっては臨機応変に対応可能な内容にはしいています。
<業務報告>
タイムチャージの業務ではありますが、委託者側も内容を精査する必要がありますので、報告は必要です。
保守業務の内容が十分でない場合、追加で対応を求めることにはなります。ただ、委託業務の履行が不十分であった場合にもタイムチャージで追加で支払わなければならないというのは、委託者としては納得のできないところかもしれません。その点については、請負契約のように仕事完成義務を前提とするものではないので、タイムチャージは発生させつつ債務不履行に基づく損害賠償という形で調整するという構成にしています(実務的には、追加チャージを発生させずに対応することが多いかもしれませんが、それは損害賠償との相殺を同時に行っているとでも理解すれば良いかと思います)。
契約書の内容は、委託者側・受託者側かといったことでまた視点も異なりますし、冒頭にも書いた通り案件毎にもそれぞれ異なるものです。カスタマイズした契約書のご相談がありましたら、当事務所までご相談下さい。
本稿の作成にあたっては、その内容につき検討を重ねてはおりますが、正確性を保証するものではありません。